Ura Noteで紹介したがフランス外務省サイトのフランス詩華選のページのランダム選択で詩のおみくじのようなものができる。毎日は無理だが、何日かに一回なら続きそうだ。1月2日に試した今年最初の結果は、
Evariste Parny(1753-1814) : Billet
まるでやらせのように艶っぽい詩。1778年に出た Poésies érotiques という詩集に入っているという。このエヴァリスト・パルニーという詩人はエロチックな詩の方面で当時有名だったらしい。サドとだいたい同時代人(13歳年下)でサドと同じ年に死んでいる(そういえばサドの新発見の書簡についてはちょっと堅くなりすぎたのでUra Noteのほうに書いてしまった)。年末にこの「おみくじ」をやったときは怠け者の詩だったから、また同じような調子のものだったらどうしようかと思ったが、今度は幸先がいい。このBilletは切符ではなくて、簡単な手紙の類を指す。古典的名作というわけではなく、口ずさんでいるとむしろ童謡のようでもある。格式ばらない調子で訳してみた。
エヴァリスト・パルニー
恋人のメモ
おぼえておいて、
0時が鳴ると
なつかしい手が
恋人の手が
ひっそりと来て
闇を探って、
夜更けにお前が
緩めてあった
かんぬきを解く。
おぼえて欲しい、
恋するものは
ヴェールを嫌う。
すべてをほどき
可愛くおなり
おまえに似合う
愛の衣で。
Évariste Parny
Billet
Apprenez, ma belle,
Qu'à minuit sonnant,
Une main fidèle,
Une main d'amant,
Ira doucement,
Se glissant dans l'ombre,
Tourner les verrous
Qui dès la nuit sombre,
Sont tirés sur vous.
Apprenez encore
Qu'un amant abhorre
Tout voile jaloux.
Pour être plus tendre,
Soyez sans atours,
Et songez à prendre
L'habit des Amours.
一年前少し前の2002年暮れの(「夜めくり記」と名がつく前の)Au fil des nuits を読み返すと年末の慌ただしさにサイトスタート時のちょっとした興奮が混じっている様子が自分たちでもわかる。2003年の12月を同じ盛り上がりで乗り切ろうと思っていたが、思わぬアクシデントのため別々に過ごす冬休みが早く始まり、二人でそれを再現する機会を逸してしまった。
インターネットがある時代の、そして昼下がりの恋人である私たちの間ではこんなメモが交わされる機会はないが、夜の闇と静寂の中で胸を騒がせながら会っていた恋人たちのことを思いながら R***へ。
Autel 記
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