Site Oraclutie

2003年11月17日
生き残るばら色のミニテル

インターネットが出現する以前、フランスではミニテルなるものが活躍していた。基本的に有料サービスなのに、列車やイベントチケットの予約などでは今でも案外根強く使われており、インターネットとの相互乗り入れも若干ある。

OraclutieImage このミニテルのサービスのかなりの部分がセックス関係で占められていた。これらを総称するMinitel rose (ピンクミニテル)なる言葉もできた。これは普及期のダイヤルQ2やインターネットと事情が同じだ。画像はなく基本的には文字情報だけだが、パートナー募集の広告やチャット、掲示板、レターボックスなどの機能は現在のインターネットとほとんど同じものがそろっていた。これが1980年代、90年代にフランスの性風俗に果たした役割は大きい。特に、ゲイやSMという人にあまりおおっぴらにいえない(かった)趣味の持ち主には、他にない情報交換、出会いの場所を提供していた(いる)。

インターネットと大きく異なるのは、サービスそれぞれのダイヤルコードが決まっていて、そのサービス内だけで情報の回路が閉じていることだ。URLを打ち込んだり、リンクをクリックするだけで手軽にどこかのページにいきつくのとは違い、サービスコードを打ち込んで、1分いくらの接続料を払うことを確認して、トップ画面がから入っていくとそこは、同じように接続している他の人々との情報交換に開かれていると同時に、その人々と共有している閉じられた世界だ。そこでは人はサーチエンジンに拾われる心配もなく現在よりももう少しきわどい情報を交換していたように思う。インターネットでも閉じられた会員形式のサービスを商売にしているものがフランスでは割合に多く成り立っているのはこうした「伝統」によるものかも知れない。

実はここまでの文章は、これからする話のための枕なのだが、すでに長くなりすぎたので、本題は次の回へまわして、ミニテル関連で少し横道に。
OraclutieImage

OraclutieImage

上の二つのスクリーンキャプチャーは、ネットから接続したセックス関連のミニテルサービスで、いましがたおさめたところ。最初のものは、出会い、エロチックなチャットのサービスで、スクリーンは接続者リストのページの一つ。後者はSM専門のサイトのもので個人広告リスト画面。

ここで例にあげた二つのミニテルサービスはまともにミニテルから入ると有料なのに、インターネットから入ると無料になっている。ネットから無料にしているのは実は業者の戦略の一つ。というのは、いまだにインターネットの接続環境をもたずミニテルしかない人も利用者にかなりいるのだが、インターネットから無料で接続している人がその人たちの話し相手になってくれると、その接続時間がひきのばせ、それだけもうかるというしくみ。出会いを求めていると確実に約束がとられるまで粘るし、チャットをしたいばあいは長くつき合ってくれる人がいればずるずるといつまでも話してしまうというのは人の性。以前はサクラの女性を雇って、相手の気をもたせるような会話を続け、接続を引きのばさせたこともあるくらいだから、ネットから繋いで急がず慌てずチャットしている人は、いわば無給のサクラとして業者にとっても都合のいい存在となる。ただしネットからの接続者がほとんどになると意味がなくなるので、こうした形態が維持されるのはつかの間だけと思っていたが、ひさびさにみてみるともう3年以上同じ形が続いていた。

R***が日本にいるときインターネットからチャット接続させたことがある。もちろんちゃんとつながったが、ひきもきらず入ってくるチャットリクエストにうんざりのようすで、自分たち専用のネットチャットにすぐ戻ることになった。

雰囲気を味わいたい人は
http://www.dialoguer.com
にあるリンクの適当なものから。Javaスクリプトでヴァーチャルのミニテルエミュレータが動く。もちろん無料。

Autel 記
© Autel & R***
oraclutie@free.fr