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タルマン・デ・レオ 『逸話集』
ブリザルディエール

ブリザルディエールはナントで使達吏の職に忙しく奉じていたが、その身分にしては度を越えた甚だしい浪費家であった。なぜそんなことができたかというと、次のような次第である。この男、かなりの歳であったが、女たちに好運祈願をしてやるというたいそうなことをしていた。しかもなんとも変わったやり方で。というのも、望みのものが手に入らないと言う女たちがいると、「それは、私のこれから教える方法でしか手に入りませぬ。このやり方はもしかして耐え難いと感じられかも知れませぬが、必ずや効果があること請け合いです」と言って誘う。女たちは好奇心にかられ、この男を信頼して、決心する。と、こうなるのだ。男は彼女たちを真裸にさせ、血が出るまで笞で打つ。そしてこんどは女たちに自分を笞打たせ、お互いの血を混ぜ、なにやら知らぬ魔法とやらを行なうのである。

ナントではさすがにこんな所業は控えていたが、その評判はブルターニュ全土、特にレンヌで気のおかしい女どもを引き寄せていた。そしてこれがなかなかに儲かったらしい。というのも、初めに言ったように、普通の使達吏にはかなわぬような派手な金遣いをしていたのである。が、レンヌでとうとう、ボアモンなる高等法院の廷吏に現場を押さえられてしまった。ボアモンは扉の覗き窓からブリザルディエールが自分の2人の娘の尻を打っているところを見つけたのである。父が訴え出、証人喚問状が発せられた。何人もの侍女、召使いの女、小間使いたちが証言に呼ばれた。しかし、尻を打たれたのが誰かという話になると、女たちは皆がんとして口を割らなかった。高等法院が招集されたが、法院長や判事たちの奥方が、それもたいそうな数かかわっていたことがわかるや、例の廷吏の2人の娘とある指物師の妻の件のみを科として、被告を強制労働に送った。本人は首を吊るされるものと思っていた。

M***の高等法院長の奥方は、なかなかの美人であったが、笞打たれた女の一人だった。この奥方の場合、他の女たちの蒙った苦難に加え、さらに1週間に15発の笞を受けていたが、それは3人の人物が呪い殺されて初めて順番が回ってくる財産相続のためであった。がいまだに財産は手に入らぬようだ。ブリーの法院長の奥方は48発の鞭を受け、ブリザルディエールに52発を返礼していた。クロランの地のある女は合金のいい按配を見つけるために笞打たれていた(この女は贋金を作っていた)。しかしいちばん面白いのはタルエ家の娘である。この娘は財産家の男と結婚することを祈願して笞打たれていたが、ブリザルディエールがあまりに手荒く打つので、次のように叫んだという−−「あれ、ブリザルディエールさん。もっと弱くお願い。そんなほど金持ちの夫でなくてもいいんです。」

For this translation © Autel & R***
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